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Applicants

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  初音ミク曲集 その2

    「 Applicants 」


 →■全曲ダウンロード [Applicants.zip / 43.4MB]■


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 ▼試聴
 01 ミミカユ
 02 受験生
 03 みかんがみっかんない
 04 メカニカルヒミコ
 05 奈落の底には落ちない
 06 栄光のオレンジ
 07 センター試験に気をつけろ!
 08 Interlude
 09 生きてりゃよかった
 10 小さな毛虫
 11 赤ちゃんエキス
 12 じゅくがえり
 13 廃校ワルツ
 14 みちにまよわせて(Lead Me Astray)
 15 Santa Maria


 →■聴いたら感想をください■
 →■初音ミク曲集 その1 「ミクダリ=ハーン」 ('09.9)へ■
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受験記

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 「ブ……ブッダの思想はどれだ? どれなんだ!?」

 おれは センター試験を受けていた!
 しょっぱなは「倫理」
 おれのような 心頭滅却する気ゼロの人間に
 ブッダの思想など わかるのだろうか?

 受験生――
 なんとも弱々しいミジメな響きではないか。
 親のプレッシャーを背に
 周りをきょろきょろして焦り
 模試の点数を神の啓示のように信奉し
 運動不足で頬がたるみ
 欲求不満で落ち着かず
 予備校の犬と成り果てる存在……
 しかしおれは その受験生になってしまったのだ。

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 このように 寸暇を惜しんでパソコンに向かい

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 時間が余れば 机に向かって蛍雪の功。
 まさに 受験生かくあるべしだ。

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 気分がすぐれないときは 外の冷気に当たって
 日中の静かな住宅街を闊歩するのも 味なものだ。
 おれの普段の散歩道には
 公園が2つ 幼稚園が2つ 小学校が1つある。

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 母校たる小学校の 体育の風景を眺めて
 懐古の情にひたるのである。

 さて ブッダの思想について悩みまくったおれは
 試験には制限時間があるという摂理を 忘却していたのだ。
 「あと10分です」
 試験官の厳然たる宣告で 我に返ったおれは
 焦って残りの問題を解き進めていき
 最後にまとめて解答用紙にマークすることにした。

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 時間内に なんとかすべての問題を解き終えて
 おれはひとまずほっとした

 「試験終了です」

 しかし――
 さりげなく 問題用紙をめくると
 そこには もう一問
 選択肢があったのである……


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 出鼻をくじかれ おれは意気消沈していた
 やはり 煩悩がつきまとっていると
 見えるものも 見えなくなるのだ

 センター試験を ばかにしてはいけない。
 記述答案ではなく 番号を塗りつぶすだけの解答は
 達成感がなく どこか不安になる
 そして 機械で採点されるという この無機質的な怖さ
 これらが相まって センター試験は
 二次試験よりも 緊張するのだ。

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 家に帰ったおれは パソコンを開いて
 早速答えあわせをするのだった
 怖れのあまり 奇声を発しながら
 マルバツをつけてゆくおれの姿を
 家族は 不審者を見る目でみていた

 しかし全体の点数は 案外に良く
 おれは歓喜雀躍としていた

 「みたか! これがおれの頭脳だ!
  平民どもよ ひれ伏せ!」

 そのとき 電話が鳴った

 「もしもし、試験官の者ですが……」

 あらどうなさいました?
 もしかして試験場での私の頭脳のキレにおそれいりましたか?
 弟子入り志願ですか? そうですね?

 「受験票をお預かりしておりますので、取りに来てください」

 おれは
 受験票を 持ち帰り忘れていた――

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 そんな波乱万丈のセンター試験を乗り越え
 おれは二次試験に向けて ラストスパートをかけていた

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 朝も昼も夜も 世界史! 日本史! 英語!
 あこがれの大学を目指して 努力するのである! 

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 そしてようやく 本番の日がやってきた
 出かける前に 精神統一するべく
 お気に入りの曲を聴くのであった




 KORN - Pop A Pill
 このグロいサウンドが たまらないのである。

 会場ではみんなが 最後の知識確認に勤しんでおり
 張り詰めた空気がただよっていた
 ひねくれ者のおれは そこでおもむろに
 行動生物学の本を取り出し
 これ見よがしに読み始めるのであった

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 ふと顔を見上げると
 おれの2つ前の席に ポニーテールの女の子の後ろ姿があった
 なかなかに かわいい。

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 「かわいい女の子が たくさん受かりますように!」

 行動生物学でいえば
 まさしく 利他的行動だ!

 試験はべつだん緊張するでもなく
 いつも通りに 問題を解くだけであった

 昼休み
 おれの斜め前の席の いかにも浪人生ルックな男子が
 コンビニの袋から ロールケーキを取り出し
 もふもふと食っていた

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 かわいそうに
 お弁当も作ってもらえない
 浪人生の 切なさ……

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 幸あれ!

 おれの一番苦手な科目は 数学だった
 しかし今回は なんとかノルマを達成できそうなくらいの
 手ごたえを感じていた
 なにより 第一問が
 発想の要求されない ただの計算問題であり
 本当に助かったと 胸をなでおろした。

 家に帰ってくると 弟が
 試験問題を解きたいと 迫ってきたので
 からかうつもりで 冊子を渡してやった。

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 「第一問は解けたよー」

 ほう。ただの計算問題とはいえ なかなかにやるではないか。
 さあ弟よ 答えを見せてみなさい。

 あれ? おれのと違うぞ。
 まあ きみはまだ高一だからなあ。
 こういう複雑な計算は 間違えても仕方がないよ。
 さて どこで間違えたのか見てやろう。

 そしておれは検算を始めた。

 ……

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 あれ?

 「合ってね?」

 …………


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 受験生の兄
 高一の弟に 計算問題で敗れる。


 終わったことは 悔ゆるに足らず
 とにかく 勉強からは解放されたのだ!
 おれはまず うっとうしい髪を切りに行き

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 そしてパソコンをいじりまくった

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 館山に卒業旅行にも行った
 しかし メンバーが皆インドア派であり
 宿まで10キロ歩いて辿り着いた時点で
 もう一歩も外に出たくないというコンセンサスが成立したため
 宿に一日中居候するという
 意味不明な旅行であった。


 そして合格発表の日が来た。

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 旅行中に おれは合格が決まってないにもかかわらず
 羽目をはずしまくっていたので
 「もし落ちていたら 大爆笑してくれたまえ」
 と 大口を叩いていたのだった

 みじめな受験生と貶められぬよう
 可能な限り余裕をひけらかしてきたおれにとって
 合格するかしないかは
 己の学力がどうというよりは
 むしろ プライドの問題であった。

 人ごみをかき分け 自らの番号を探す――

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 プライドを 保つことができた。

 そして今 おれは
 大学入学前の 宙ぶらりんの空白な時間を
 無為にすごしている。

 せめて 運動をはじめようと思い
 いつもの散歩道を 走りはじめるのだが
 すぐに 立ち止まってしまう。

 だが いいのだ。
 今は 焦らなくてもよく
 立ち止まっていることが 許される 貴重な時間。
 おれは 今のその瞬間を
 大事に したいのである。

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 散歩の一歩一歩が君の致命傷である。目的を求めてはいけない。目的は目的星の目的星人が独占すべきものであるからだ。内政不干渉の原則、民族自決の原則、三題噺はお好きですか。好きでも嫌いでもない? わかりました、巡回してください。目が回るまで巡回してください。吐くまで巡回してください。ぼくはここに立って、巡回数をこのカウンターで数えるし、左手のストップウォッチで各巡回のラップも計ります。くれぐれも自分で数えたり、計ったりしないように。

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