夢一夜

 私は地球が滅亡するのを知って火星に逃げて仕舞おうと思い立ち庭に置いてあったロケットで宇宙へと飛び立った。しかし私は長い間この内部を掃除して居なかったので機内のあちこちに見たことも無いような気味の悪い昆虫がわさわさと蠢いていた。運良く殺虫剤を持ち合わせて居たので近くの虫の密集している箇所に一吹きしたところ一斉に虫が飛び立ちたちまちの内に機内は喧しい羽音で一杯になった。私はドアを開け宇宙へ飛び出すと重力の摂理によって眼球が飛び出し口から臓器が吹き出て見るに耐えぬ姿になった、もっともここは宇宙なので見ている人なぞ居ないだろうが、などと考えているうちに私の体は公転をはじめた。宇宙と一体となったのを感じて私は安堵した。母の胎内にもう一度戻ったかのような心地がした。羽音はいつのまにか止んでいた。