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 聞こえますか? かろうじて、気の遠くなるようなはるかにかすかに車の、砂利道の徐行のけはい。ドアのバタンと開く音が神秘的な打楽器のように夜空にこだまする。煙草の味が、ここまでただよってきて、LEDライトで辺りを照らそうとしたが点かない。換えの電池は、ちびた鉛筆が山盛りに入っているペン立ての一番下の、黒鉛で黒ずんだところにたったひとつあった。そうこうするうちに、足音が近づいてきて、今にも戸をげんこつで叩き割って、土足でぼくの畳の部屋に入ってくるだろう。そしてぼくは勉強椅子に縛り付けられ、手足の自由のきかぬまま、彼はスプーンに茶碗蒸しを一口分よそって、ぼくの唇へ運んでくれるだろう。ぼくはよだれがたれるのもかまわずそれを口に入れ、暗闇の中、幸福にはしゃぐだろう。

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